2016-03-24

シドニー入港

3月24日 しらせ はシドニーに入港しました。
ここで観測隊員はしらせを下船し、空路で帰国することになります。
しらせでの船旅もお終いです。

夏隊にとっては4か月ぶり、越冬隊にとっては1年4か月ぶりの文明圏です。
やっと帰ってきた! 戻ってきてしまった! 感想はいろいろですが、

久しぶりの土の感触と緑の木々はうれしいですね

そして、お世話になった観測隊のヘリコプターともお別れです。



2016-03-23

入港前作業

海上自衛隊の船が入港前にする大事な作業があります。
それは 清掃! 迎えてくれる港に対する儀礼でもあり、船の威厳を保つためにも重要な作業なのだそうです。船内はもちろん。船外のサビを落とし、金属部分をすべて磨くという気の遠くなるような作業ですが、船員総出でテキパキとこなしていきます。




社会見学:船内の汚水はどこへ?

(もう帰国しましたが、後追いの投稿ですみません)

しらせはエコシップとも呼ばれますが、南極環境を汚さないように環境に配慮した各種装備があります。今回は汚水処理について案内していただきました。

まず我々のために作ってくれた説明イラストに脱帽です。


イラストにある船内各所を案内してもらいました。説明すると長くなりますが、しらせでは日本国内と同じような処理をしてきれいにしてから海に戻しています。 これが処理装置、生活排水、汚水など区分に応じて処理がわけられています。 南極を汚さない!それもしらせの重要な任務でした。








船内郵便局

郵便局の時間外受付のようなこの場所は、しらせ船内にある郵便局です。
切手やハガキが売っているほか、観測隊やしらせのオリジナルスタンプを押すこ
とができます。

そんな船内郵便局も閉局日を迎えました。昭和基地で出すことができなかった私
には最後のチャンス、なんとか閉局前に出すことができました。

皆様のお手元に届くのは「しらせ」が到着する4月中旬以降です。
メールや宅急便、なんでもすぐ届いてしまう世の中ですが、南極からの手紙は、
すぐに届かないことにこそ価値があるのです。

2016-03-22

水深1000m

「しらせ」は海洋観測船でもあり、海洋観測機器を沈めるためのワイヤーウィン
チがあるのですが、南極海での観測が終了したので、ワイヤーの巻き直しもかね
てある実験が行われました。

水深1000mではどのくらいの水圧がかかっているのか? 

そこでステンレスの保温マグカップ(真空2重構造)をつかって実験してみまし
た。結果はこちら左が入れる前、右が水深1000mから戻ってきたカップです。自
分の予想は円筒に近くて安定している六角柱だったのですが、きれいな五角柱に
なっていました。

ちなみに実験した周辺海域の水深は4000〜5000mくらいあるそうです。海底での
水圧も気になりますね。

2016-03-21

北上中

「しらせはその後、南極の暴風圏を越え、オートトラリアへ向けて北上を続けて
います。3月21日現在、南緯45度です。
 南半球なので北へ行くほど暖かくなります。外気温も10℃を越えだいぶ暖かく
なってきました。航海は長く、身体を動かす機会も減るので、船の揺れが少ない
時には「艦上体育」といって写真のように甲板の上を走ったり、歩いたりするこ
とが認められています。私も気分転換に毎日1時間ほど走ったり筋トレをしたり
して、身体を動かすようにしていますが、暖かくなると気持ちがいいですね。
ちょうどこの時は海に薄く霧がかかっていたので、虹を眺めながらの贅沢なラン
ニングが楽しめました。

南磁極通過!

3月15日しらせは南磁極を通過しました。南磁極とは方位磁石が最も南を示す場
所です。南極には南極点(地理上の極点)南磁軸極など、地球という宇宙に浮か
んだ球体を考える上で重要な理論上の「点」がいくつかあります。そしてそれら
の点は地球の動きとともに少しずつ位置を変えています。

さて南磁極、方位磁石は南磁極に向かって南を指すはずなので、通過した瞬間に
コンパスが回ったり、下を向いたり、逆転したりするのかと期待しましたが、実
際は範囲が広く、すぐに動くことはありませんでした。写真の南磁極付近の海図
には放射状に方位磁石の補正角度(偏角)が記載されていて、この付近を方位磁
石だけで航行するには偏角を頻繁に補正する必要があります。でも、しらせを含
め現代の船はGPSやジャイロなどで進行方向を補正するため、航行に影響は無い
そうです。

2016-03-20

ヘルメットアート

56次越冬隊のK設営主任=通称チーフ(電気担当)は今回2回目の越冬で、過去技
能五輪に行くほどの技術と電気に限らない幅広い技術系の知識を持った人で、こ
の人ほど昭和基地の設備全般に詳しい人は他にいないのでは無いかと思っています。

そんなKチーフ、多忙な中、器用な手先を活かして、隊員のヘルメットをそれぞ
れの職種に応じたアート作品にしてくれていました。私のヘルメットも船旅の間
に写真のような作品になりました。独創的なセンスと緻密なカッティングが光っ
てますね。Kチーフありがとうございました。

2016-03-19

See you !

3月12日、オージー達がオーストラリアのケーシー基地に飛び立っていきまし
た。この後ケーシー基地からは大型輸送機で帰るそうです。オージー達のいなく
なり静かになった「しらせ」内は、しばらくの間、寂しげな雰囲気でした。

写真のオレンジのスーツは海上用のエマージェンシースーツでヘリ搭乗時はヘリ
パイロットも含め、全員が着用します。他にも水上艇のスタッフが先行して緊急
事態に備えるなど、徹底した危機管理対策はいろいろ学ぶところがありました。

2016-03-17

Orca!

3月11日、震災の黙祷をしたその日、

なんとシャチの群れがしらせの前に,
船から遠ざかるしばしの間、オージー達と一緒に見入っていました。

ちなみにシャチは英語でOrcaもしくはKiller whale
Killer Whaleって、あんまりな名前ですね・・・

2016-03-16

類は友を呼ぶ

オーストラリ隊と同行した時に、私の部屋には日本隊の野外観測支援に相当する
Field Training Officer(FTO)の2名 JohnとMartinが来ていました。Jhonは教師
でもあり南極30年以上のベテラン、一方のMartinはイギリス南極観測隊での経験
もあるエキスパート。そんな2人とお互いの写真を見せながら情報交換をしたり
と、思いがけず有意義な1週間となりました。

国と言葉は違っても、南極での職種以上にライフスタイルなど、いろいろ共感で
きる2人でした。また、どこかで会うのが楽しみです。

しらせ南極大学

(投稿内容が前後しますが、船からは投稿日が変更できないので、すみませ
ん・・・・)

3月3日、しらせ南極大学の講師をしました。
昭和基地では伝統的に南極大学が越冬中に開講され、それぞれ研究内容や趣味な
ど、越冬期間中の教養を広めるばかりではなく、発表する隊員を知るこ とにも
つながっています。同様に「しらせ」でもしらせ乗務員向けに「しらせ南極大
学」が往路と復路に開講されています。
主に研究者が南極での研究や観測内容などを話す場なのですが、たまたま講師依
頼がありましたので「野外ですごした180日」と題して、南極での野 外活動の様
子を話ました。ほとんど写真ばかりで、他講師のように学術的な内容では無かっ
たのですが・・・・

そして、しらせ南極大学閉日、艦長より講師全員にこんな立派な記念品をいただ
きました。
しらせの皆さん、ありがとうございました!

2016-03-11

オーストラリア隊救出

 オーストラリアの南極観測船オーロラ・オーストラリスが座礁した影響でモー
ソン基地に足止めされていたオーストラリア南極観測隊員66名とヘリコプター3
機を収容して、大型飛行機が着陸できる同じく南極にあるオーストラリアのケー
シー基地まで一緒にしらせで旅をしていました。南極でこのような助け合いはお
互いさま、以前しらせの建造が間に合わない時には、オーロラ・オーストラリス
で昭和基地まで輸送してもらったこともあります。さて、思いがけないオージー
との船旅、どんな旅になったのでしょう?

2016-03-10

南極海再び

「しらせ」はケープタウンから再び暴風圏を越えて南極沖へ
さっそく氷山とザトウクジラの群れが氷海に帰ってきた我々を出迎えてくれまし
た。ゆったりと泳ぐザトウクジラを見ていると、時の流れさえゆっくり流れるよ
うに感じます。

2016-02-29

夕暮れいろいろ

帰りの航海ですが、報告書を書く以外は特にすることがありません。気分転換に
たまに外に出て甲板を走ったりしていますが。私が毎日楽しみにしているのは夕
暮れの風景です。同じ海の上でも天候や光の当たり方でだいぶ印象がかわり見て
いて飽きません。

2016-02-28

ちょっとだけアフリカ

しらせは一旦南極沖を離れて北上し、南アフリカ ケープタウンに寄港しまし
た。寄港といっても我々の上陸はなし。それでも越冬隊員にとっては2014年11月
以来の南極以外の大地と文明圏です。町並みや列車が走っている様子に見入って
しまいました。アフリカ沖では虹やオットセイ(アシカかも?)やイルカ群れの
歓迎をうけて、喜望峰(3枚目の写真)を眺めながら、気温も25℃以上、久しぶり
の夏を満喫することができました。でも、これから海洋観測のため再び暴風圏を
越えて寒い南極沖へ戻ります。

ヘリ納め

 野外観測や物資輸送でお世話になったヘリコプター、海上自衛隊のCH機と観測
隊契約の民間ヘリAS350機ですが、全ての任務を終え、帰りの船旅のため「しら
せ」内に格納されることになりました。小型のAS機は3枚のブレード(羽根)を
手作業で外して、タイヤをつけて手押しで移動。大きなCH機はブレード5枚をた
たんで(あとでクレーンで外すそうです)専用の電動カートで移動させます。約
30分ほどでCH2機とAS1機が格納庫内にピッタリ収まりました。船内でも整備は続
くそうですが、パイロットとスタッフの皆さんお疲れさまでした!

アムンゼン湾にて

 2月17日、復路の「しらせ」から57次夏隊最後の野外オペレーションが行われ
ました。私にとっても南極最後の野外観測支援です。目的地はアムンゼン湾、こ
こには無人磁力計やGPSの測位ポイントがあります。目の前にはリーセル・ラル
セン山がそびえ、周囲には棚氷、氷河、フィヨルド、氷河湖と盛りだくさんの、
南極での最後の仕事にふさわしい美しい場所でした。さらば南極の大地!

氷海離脱

2月14日に昭和基地を離れて、本日2月27日、まだしらせで航海中です。だいぶ
時間が経ってしまいましたが、2月15日の氷海離脱の瞬間です。氷のある海が当
たり前になっていたので、氷が無いとちょっと寂しい気がします。

2016-02-14

さよなら昭和基地

本日ヘリで、すでに帰路の航行をしている「しらせ」に戻ります。

昭和基地ともいよいよお別れです。
いろいろなことがありましたが、あっという間の1年2ヶ月でした。
しらせでゆっくりとこの越冬生活を思いおこしたいと思います。

帰りは、行きとは異なる航路で、野外オペレーションも少しだけある予定なので、新たな世界への船旅と思って充実させます。

なお、こちらのブログはメール経由で投稿ができるかもしれませんので、たまにご覧ください。(ただし、コメントの返答はできません)



2016-02-13

ペンギン、空を飛ぶ!

南極でペンギンが飛んでいる風景が見たくて、不思議ヒコーキ製作者の飯島実さんに特別に作っていただいたペンギンヒコーキを、ようやく南極の空で飛ばすことができました。

近くには本物のペンギン達もいたのですが、近寄ってくる子供ペンギンもいて、飛ぶことのできる仲間と思われていたようです。飯島さん、ありがとうございました。





肩の荷

 いよいよ昭和基地を離れることになりそうなので、南極で常に身につけていたこちらの紹介。野外はもちろん、基地内であっても、トラブルがあれば、そこは南極です。朝起きてから寝るまで持ち歩いていました。中味は無線機、ライト、ナイフ、ホイッスル、通信カードなどの非常用品と、すぐに使いたいデジカメ、野帳、ペン類などです。幸い肩こりにはなりませんでしたが、しらせに乗ったら肩から下ろすことにします。




2016-02-12

野外観測支援引継ぎ

 57次同行記者ブログ「南極かわらばん」に野外観測支援の引継ぎの様子を取り上げてもらいました。

南極を切り撮る 「野外観測支援引継ぎ」
http://kachimai.jp/feature/antarctica/article.php?id=113

2016-02-11

さらば、とっつき岬


GPS機器回収のサポートで、とっつき岬に行ってきました。越冬中はクラックに悩まされ、つらい思い出の多かった岬ですが、これで最後かもしれないと思うと名残惜しく思えるものですね。ひさしぶりにお茶を立てて、おだやかな時間を過ごすことができました。



とっつき岬とクラック


抹茶で一休み

2016-02-06

Your Shot

ひさしぶりにNational Geographic Your Shot に投稿しました。
南極からあと何枚投稿できるかな?

http://yourshot.nationalgeographic.com/photos/7566050/


2016-02-04

ボークス氷河

もう氷河に行くことはないと思っていたら、氷河GPS設置の支援依頼が・・・
氷河上はクレバスが多く、ヘリの着陸時の周囲の安全確保はかなり緊張が強いられるのですが、無事GPS観測装置を設置することができました。 帰路には、憧れつつも行く機会が無かった露岩帯、ルンドボークスヘッタが上空から見ることができました。

ちなみにこのGPSデータと衛星画像をあわせて解析すると、氷河の流れる速度がcm単位でわかるそうです。凄いですね。
ボークス氷河

氷河GPS設置完了!

ルンドボークスヘッタ


2016-02-01

その後の卵たち


越冬交代後、57次隊の支援でルンパ島のペンギンルッカリーに行ってきました。11月末の営巣数調査では、まだ卵でしたが、今ではこのとおり!
エサをねだって親ペンギンを追いかけています。子育てに苦労するのは人もペンギンも同じようです。
モコモコの羽毛がヒナです。


エサをねだって親を追いかけ回します。


越冬交代


 2月1日、越冬交代式をもって57次隊に昭和基地の全業務を引き継ぎました。
思えば55次隊から基地を引き継いでから、あっという間の1年でした。
57次隊の皆さん、あとはよろしくお願いします。

 これから56次越冬隊はしらせに帰艦していきますが、私は2月中旬頃まで支援のため残留することになりました。もう少しだけ南極生活を楽しみたいと思います。

交代宣言の後、57次隊と握手をして入れ替わります。



野外観測支援業務は56次夏隊でもお世話になった水谷さんに引き継ぎました。
あとはよろしくお願いします!
56次越冬隊の仲間と57次夏隊の一部がしらせに帰っていきました。
しらせで帰る我々にとってはしばしの別れですが、57次越冬隊員にとっては帰国する来春までの別れになります。



2016-01-31

越冬交代前日

1年前は非日常の連続だった昭和基地での生活もやがて日常となりました。
そんな56次越冬隊の日常も今日が最後です。 ここ数ヶ月追われるように過ぎていきましたが、最後に仲間達とゆったりとした時間を過ごすことができました。 

2016-01-29

リンク追加:南極を切り撮る

57次隊との越冬交代が近づいてきました。
基地の引き渡しの準備や残務整理で大忙しです。 
というわけで、ホームページの更新ができていないので・・・リンクを追加しました。

「南極を切り撮る」

57次隊同行の塩原記者(十勝毎日新聞社)のブログ。なんと塩原君とは、12年ほど前、彼がまだ学生だった頃に冬のペテガリ岳に一緒に登ったことがありました。まさか南極で再会するとは!写真のクオリティはさすがプロ、是非ご覧ください。

2016-01-16

南極の空を飛ぶ

 先日整備した南極大陸の滑走路に飛行機がやって来ました。夏の南極大陸には共同で運営する航空ネットワークがあって、昭和基地が属するのは南アフリカと南極を結ぶDROMLANとよばれるネットワークです。各基地で燃料を補給することによって、より遠くの基地へ人員や物資の輸送を可能にしています。
 自分たちが整備した滑走路に飛行機が着陸するのは見ているだけで緊張です。日本人ならこんなとき「気をつけて」と言いたくなるところですが、直前に我々のヘリクルーと飛行機パイロットとが無線で交わした言葉はEnjoy! さすが空の男達、カッコいいですね。