2015-05-31

西オングル風発ミッション

 2泊3日で西オングル島に行ってきました。目的は前回故障で取り外した風力発電機の設置ともう一台の調子の悪い風力発電機の交換、風力発電システムのメンテナンスです。これまで風力発電は安定電力を供給していなかったため、定期的にバッテリー充電に行く必要がありました。今回のミッションが成功すれば、バッテリー充電に行く必要が無くなります。

結果は、ミッション成功! 風力発電から観測機器に安定電源が流れました。

西オングル島へは約5km、雪上車で約40分です。


風力発電のメンテナンス
複雑だった配電盤の切り替え作業




西オングル小屋の中、昔の内陸旅行用ソリです。
夜にはオーロラも
晴れた朝、-27℃まで冷え込みました
11:38日の出、日没は13:00!明るいうちに昭和基地に帰ろう










2015-05-25

南極でのお茶の作法は?

 南極での野外活動は緊張の連続ですが、ちょっとホッとできるひと時や遊び心も必要です。そこで野外の気分転換に抹茶を立ててみました。短時間で厳しい環境が一瞬で風流な空間へ、隊員達に好評です。

南極でのお茶の作法はひとつだけ 「凍る前に飲み干すこと!」


凍る前に手早く点てます
南極大陸で
海氷で
次はどこでお茶をいただこうかな?

向岩再び

ルート工作は終了しましたが、まだ近場であれば野外活動は可能です。今回は以前にルート工作した南極大陸の向岩へGPS観測機器の設置に行ってきました。これらの機器は極夜明けに回収してどれだけ移動したかを解析します。

向岩、氷床手前のモレーン(氷河が運んできた石)のある場所まで上がってみました。過去にはここから内陸を目指した時期もあったそうです。

GPSの台座設置、精度が要求される細かい作業です。
これで数ミリ単位の大陸移動が計測できます。
設置を終えて記念撮影

海氷上にもGPSを設置、潮位の変化までわかるそうです。

興味のある方はGoogleMapで向岩を訪ねてみてください。
https://www.google.co.jp/maps/place/69%C2%B001'43.5%22S+39%C2%B041'46.5%22E/@-69.02875,39.69625,10205m/data=!3m1!1e3!4m2!3m1!1s0x0:0x0!6m1!1e1

2015-05-24

極夜前ルート工作最終日

 ブリザード続きでルートがなかなか伸びなかった56次隊ですが、ここ数日の好天でだいぶルートを伸ばすことができました。もっと先へ伸ばしておきたいところですが、極夜(太陽が出ない期間)直前で日照時間も短くなり、日中の気温も-22℃以下とかなり寒くなってきました。海氷の状態も極夜の期間中に変化することから、極夜前のルート工作を終了することにしました。 最終日は昭和基地の南、ラングホブデ方面にルートを伸ばしました。極夜明けに再びルートをつなげていくのが楽しみです。

寒かったけど、ビーナスベルト(地球影)がきれいな一日でした。
クラック(裂け目)やリッジ(隆起)などの危険を避けながら、目的地に向かってに一定間隔で旗を立てていきます。
最後はルート上に出現したモンスター?に行く手を阻まれる。
モンスターの正体:延々と続く巨大なプレッシャーリッジ(海氷同士が衝突して隆起したもの)。
最終ポイント、極夜明けは、中央に見えている長頭山があるラングホブデを目指します。

オングル・ガルテン島

 極夜前で日がだいぶ短くなってきました(5月22日時点で日出10:46 日没13:50)。まだ薄明の時間があるので昭和基地周辺のルートを整備中です。今回は昭和基地から南へ約9kmにあるGPS観測を行うオングルガルテンという小さな島へ行ってきました。 
オングルガルテン島、全長600mほどの小さな岩島です。
小さな島ですが、周囲は深いタイドクラック(潮位変化による海氷の裂け目)で覆われています
登りながら見た太陽、お昼でもこのくらいの高さです。
オングルガルテン島 最高点! 38mしかありませんが、なかなか絶景です。

オングルガルテン島にグーグルマップで行ってみましょう!

2015-05-22

シャボン玉、凍った!

-30℃ではシャボン玉の歌の歌詞も変わります。
「シャボン玉飛んだ、凍って飛んだ、凍って飛んで、こわれても消えない」

2015-05-20

向かいの大陸へ

昭和基地から南極大陸を目指すルートはいくつかありますが、最も近いのはその名も「向岩」に行くルートです。昭和基地から約6km、ツルツルの氷の上にルートを作ってきました。

出発!朝焼けがキレイですね、もう午前10時ですが・・・
相棒のスノーモービル(通称スノモ)、寒さだけが難点です。
ツルツル路面に注意!


南極大陸到着!


午後2時には夕暮れが・・・後ろは南極大陸です。

おまけ 基地では珍しい渋滞(重機2台)にハマる

西オングル充電旅行

 1泊2日で、昭和基地のある東オングル島の隣島、西オングル島に行ってきました。目的は、観測機器のメンテナンスと、機器を動かしているバッテリーの充電です。太陽が出ているうちはソーラー発電で間に合うのですが、これから極夜という太陽のでない期間がやってきますので、その前に充電をしておきます。

もう極夜前、日が短いので16時ころにはこんな様子。20150515_161415_takahashi
雪上車と小屋(昔の居住ソリ)に泊まりながらの充電です。
20150516_080024_takahashi
発電機で充電しますが、1時間ごとにバッテリーの状態を確認します。
20150515_222050_takahashi
8時過ぎの夜明け、月がキレイでした。
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翌日、風力発電のメンテナンス(交換のため風車を外したあとですが・・・)
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 西オングル島には悲しい場所もあります。第4次越冬中(1960年)に昭和基地で遭難した福島隊員は、1968年、昭和基地から約5km離れたこの場所で発見されました。当時と比べると基地も装備も発達し、南極でも日本と変わらない生活ができるようになりましたが、一歩外に出れば、当時と同じ厳しい自然があることを教えてくれます。
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2015-05-12

ちょっと内陸へ

 ブリザード続きの昭和基地ですが、なんとか天気が持ちそうだったので、昭和基地から35km離れた南極大陸にある観測隊の拠点S16へ観測と拠点整備のための小旅行を計画しました。
 旅行といっても、この時期の南極での野外活動は難しい条件がいくつかあります。まず太陽が出ている時間が非常に短いこと、5月10日の日出は9:42、日没は14:53です。明るい時間が5時間ほどしかありません。それに海氷の状態が安定していないため、クラックと呼ばれる氷の割れ目ができて、最悪、広がってしまうと雪上車では通過できなくなります。

 結果は・・・初日からクラックに悩まされ、新たなブリザードも迫ってきてしまい・・・。S16はあきらめ、3kmだけ内陸に上陸して戻ってきました。それでもメンバー6名、南極の厳しい自然の中で、目標に向かって進路を探し、雪上車に泊って過ごした3日間は昭和基地では得られない貴重な体験となりました。 
いざ、南極大陸へ!
しかし、南極は甘くない・・・クラック出現
宿泊は雪上車です。
雪上車内でも調理隊員のおいしいご飯が!!
食事のあとはトランプでリラックス!
しっかり観測、南極大陸の雪をサンプリング
ブリザードが来る前に家(基地)に帰ろう

2015-05-06

昭和基地NOW!!更新

56次越冬隊公式ブログ 昭和基地NOW!! 更新です。

大切な安全講習 ~後編~
http://www.nipr.ac.jp/jare/now/20150427.html

こどもの日には・・・

 朝から15mを超える強風でしたが。5月5日はこどもの日、昭和基地でも、こどもの日を祝いました。 こどもの日といいえば、鯉のぼりですね。 基地にも鯉のぼりはあるのですが、最近はブリザード続きでなかなか外に出せませんでした。写真は気を利かせた隊員が風の弱まった時に事前に撮影をしてくれていたものです。
 朝は極地研究所の南極北極科学館と衛星中継、科学館のこどもの日イベントに来てくれた子どもたちの質問に隊員一同で答えました。なぜ南極に来たのですか? 南極はなんで寒いんですか? 観測隊になるにはどうしたらいいんですか?・・・ なかには難しい質問もありましたが、子どもたちの疑問に答えるのは楽しいですね。

夜は調理隊員のこどもの日メニューもあって、ちょっとホッとできた1日でした。

 例年はこの他にアマチュア無線局を開局して日本と交信するのですが、今年は基地にあるアマチュア無線用のアンテナが連日のブリザードで壊れてしまい、残念ながら中止になってしまいました。楽しみにしていた皆さんごめんなさい。

南極の空に鯉のぼりが映えますね

調理隊員によるこどもの日、大人向けディナー

2015-05-02

星空を旅する

 南極で星空とオーロラを眺めていて感じることは、地球が宇宙の中を進んでいるという感覚です。知識としては知っていても、南極に来るまでは実感することはありませんでした。自分たちが星空の中を進んでいると思って見ると、この動画もまた違った印象になると思います。皆さんはいかがですか?


Voyage of the night sky from AntarcticLIFE on Vimeo.

救出せよ

外はブリザード、 外出注意令も発令され、風速も25m/sを越えました。
 そんな時、ある隊員から救出要請が・・・といっても人ではありません。基地の広場に衛星中継に必要なあるモノたちを忘れてきたのだとか・・・特別に外出許可を得て、2人で救出したモノとは・・・


Clock Rescue from AntarcticLIFE on Vimeo.

そう、時計と温度計です。衛星中継でこちらの様子を伝えるには欠かせないものなのです。

2015-05-01

南極大陸再び

 ブリザードが多く、野外に出られない日々が続いていた56次隊ですが、合間の天候の良い日に集中してルートを伸ばした結果、昭和基地のある東オングル島から約16km 南極大陸ルートの起点となる「とっつき岬」に至る海氷上のルートがようやくできました。約3ヶ月ぶりの南極大陸到達です! ただし、4月30日の日の出は8時58分、日の入りは15時38分、それにソリを引いた雪上車の時速は7km/hくらいなので、暗くなる前に基地に帰るために滞在時間はほんのわずかでした。


スノーモービルと小型の雪上車でルートを作っていきます。


南極大陸上陸! 奥に青く見える分厚い氷(氷床)が南極大陸の証明です。